自閉症の子は、コミュニケーションが苦手なために、会話できないと言われてしまうことがあります。
今は指差しや頷きなどの身体的なコミュニケーションや周りの補助でなんとか意思疎通ができていても、将来のことを考えると不安になる保護者様もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事を参考に、焦らず、お子様のペースに合わせて、会話を練習していきましょう。
□自閉症の子は会話できないと言われる理由
自閉症の子が会話できないと言われる理由は、ただ言葉を発せないだけではありません。
言葉を発せていても、コミュニケーションが苦手なために会話できないと言われてしまうケースも多いようです。
*言葉でのコミュニケーション
前提として、会話のキャッチボールが苦手なことがほとんどです。
言われた言葉に対して、同じ言葉を繰り返してしまう、一方的な会話である、内容がかみ合っていないという場面が多く見られます。
また比喩や冗談などの抽象的な表現をされた場合は、自分に対して言われていることでも他人に言われていると思い無視してしまうケースや、他人に対して言われていることでも自分に言われていると勘違いして反応してしまうケースもあります。
*言葉以外でのコミュニケーション
身体的なコミュニケーションも苦手な場合があります。
視線を合わせられない、他人に触られるのを嫌がることをはじめ、保護者の手を使って物を取る、「クレーン動作」と呼ばれる動作が見られることもあります。
□自閉症の子は徐々に会話を引き出す
苦手なことをいきなり克服することは誰しも難しいものです。
コミュニケーションは人間関係の構築には必要なものですが、焦らずお子様のペースに合わせて練習していきましょう。
まずは、質問に答えることからです。
1.指をさして選ぶ
質問に答えられない子は、指差しから始めましょう。
好きなものを選ぶ、言われたものを選ぶ、2択から3択にするなどして徐々に難易度を上げていきます。
選ぶものを、実物からカードに変更していくのも効果的です。
2.名前を聞く
指差しで質問に答えることに慣れてきたら、言葉で答える練習に移りましょう。
写真に写っている人が誰か聞いたり、何枚かの写真の中から自転車に乗っているのは誰か聞いたりする方法があります。
選択肢を提示することで、質問に言葉でも答えやすくなります。
3.グループ名を教えて質問する
具体的な選択肢はないものの、グループ名であらかじめ選択肢を絞った質問に移ります。
ジュースは何を飲むか、おもちゃは何で遊ぶかなど、初めにグループ名をつけて質問しましょう。
4.今のことを聞く
グループ名を省略して、今していることや今からしたいことを質問します。
何を飲みたいか、何で遊んでいるのかなど、目の前のわかることを質問しましょう。
このような具体的な質問が理解できるようになったら、感情や理由など抽象的な質問もしてみると良いでしょう。
どうして怒っているのか、なぜこうしたのかなどを聞くことで、自分で答えを考えるきっかけを与えます。
5.過去・未来のことを聞く
今のことは目の前のことなので答えやすいですが、過去や未来のことは目に見えないことであるため答えるのが難しいです。
上記の段階までの質問がスムーズに答えられるようになったら、今日の出来事から質問してみましょう。
以上のように、焦らず段階的にコミュニケーションの練習をしていきます。
1往復で終わっていた会話も、2往復以上続くように問いかけてみると良いですね。
□まとめ
自閉症の子は会話できないと言われる理由は、言葉の遅れだけではありません。
最初は選択肢のある具体的な質問から、徐々に抽象的な質問に移り、会話が成り立つように練習していきましょう。
焦らず、ゆっくり難易度を上げていくことが重要です。
お悩みの際は、私たちにご相談ください。