アスペルガー症候群とADHDの違いをご存知でしょうか。

両者とも近年耳にする機会が増えてきたかと思いますが、それぞれ症状が異なります。

2つの症状について解説するので、ぜひご一読ください。


□アスペルガー症候群とADHDの違いとは?


アスペルガー症候群とADHDはいずれも発達障がいですが、医学上明確に異なるものです。

しかし、実際の診断の際は専門家であっても、どちらなのか断言できない時もしばしばあるようです。

そのため、診断名にこだわるのではなく、ある程度は症状の似ている部分があることを知り、どちらの傾向が強いか把握すると良いでしょう。


日本では発達障がいは、大きく以下の3つに分類されています。

・学習障がい(LD)

・広汎性発達障がい(PDD)

・注意欠陥・多動性障がい(ADHD)


アスペルガー症候群は、広汎性発達障がいに該当する発達障がいです。

アスペルガー症候群の場合、社会性と表現に難しさがあることと、こだわりが強いことの3つが特徴として一般的に挙げられます。


社会性の難しさとは、相手の気持ちが読みにくかったり、新しい環境が苦手だったり、思い込みが強かったりすることです。

表現の難しさは、言葉で表現することが流暢にできなかったり、言葉の持つ定義が狭かったりすることです。

こだわりに関しては、好き嫌いが極端にはっきりしていたり、自分の好みを譲れなかったりすることがあるでしょう。


ADHDは注意欠陥・多動性障がいのことです。

多動性、不注意、衝動性が特徴として挙げられます。

脳の前側にある前葉前野付近の働きの障がいが関係しているのではないかと言われていますが、まだ原因は明確になっていません。


□アスペルガー症候群とADHDの症状について解説


続いては、アスペルガー症候群とADHDの症状について解説します。

アスペルガー症候群の場合は、主にコミュニケーション、対人関係、こだわりに関して問題がありました。

ADHDは、不注意や多動性、また衝動性などが症状です。

項目別に2つの違いを見ていきます。


*対人関係


対人関係に関しては、アスペルガー症候群の場合、相手の気持ちを汲み取ることが困難なため、失礼な態度や発言をしてしまうことがあり、対人関係を上手に築き上げるのが難しいです。

また、相手の発言をそのままの意味で鵜呑みにしてしまい、傷つきやすいという面もあります。

ADHDは、遅刻やうっかりしたミス、物忘れなどで対人関係のトラブルに発展することもあります。

ただ、アスペルガー症候群とは異なり、人の気持ちを汲み取るという面では問題がありません。


*集中力


集中力に関しては、アスペルガー症候群の場合、こだわりの強さを発揮して何時間でも集中できることがあります。

ADHDは不注意の症状があるため、長く集中力を続かせようと思うと大変な場合もあります。

両者に共通しているのは、興味のあることに対してはものすごい集中力を発揮するということです。


*感覚


アスペルガー症候群では、五感のうちのいずれかが非常に敏感である「感覚過敏」がみられることが多く、感覚へのこだわりが非常に強い場合があります。

例えば、触覚が敏感な方が普段とは違う素材の服を着ることで過敏に拒絶するケースがあります。

また、聴覚が敏感な方であれば、にぎやかな場所に長時間滞在するのが苦痛に感じることもあるでしょう。

一方ADHDは、アスペルガー症候群ほどは感覚に対するこだわりは見られないことが多いです。


□まとめ


今回は、アスペルガー症候群とADHDの違いについて解説しました。

両者は似ている特徴もありますが、医学上は明確に異なる発達障がいです。

特徴は一人ひとり違いますし、障がいが合併しているケースもあります。

診断名にこだわるのではなく、一人ひとりのニーズや障害の特性を理解し、それに応じた対処を行うことが大切です。